<大食漢のビジネス回遊録:2016年8月26日>

中小企業に多いのだが、現地での市場性を判断するときに「えっ?」と思うようなフィードバックを、海外進出を検討している会社の経営者や担当者から聞くことがある。『うちの会社にいるX人のYさんが「X国でも流行るはずだ」と言ってた』とか『以前X国に行ったとき、その国の知り合いに聞いたら”売れるはず”と言ってた』とかということを鵜呑みにして信じてしまっていることがある。現地に足を運ぶことなく、自分の目で確認する訳でもなく、定点観測して市場性を予測する訳でもなく、特定国や特定商品に対する経験者の意見を聞く訳でもなく、身近な経験のない友人や知り合いの意見を”そのまま”参考にしてしまうケースは意外と多いような気がする。意見を聞いて一意見として興味を持ち始め、真剣に検討するキッカケになるのであればいいのだが、盲目的に信じてしまうのは危険である。全く経験がない新卒社員に「知見のない地域での新商品の市場性」について聞くことに近い。
いわゆる「”カンブリア宮殿”病」で現地で成功している風に演出された媒体やメディア記事に振り回されるケースもそれに近い。例えば、「ある国でスイーツが流行り始めている」というケース。”日本製やmade in Japanなら売れるだろう”という妄想に駆られて、盲目的に特定地域に進出してしまうケース。意外と単に”思い込み”になってしまい、多くの場合、初期投下の資本金で食いつぶして長く持たず終息してしまう。
重要なのは自身の中できちんと”ロジックを作る”こと。慣れてくると、自分の中で判断軸や行動軸となる組み立て方をするようになる。
経験豊富な方の場合だと・・・、
①現地での価格(競合商品価格、卸マージン、家賃相場、輸送コストなど)
②販売チャネル(商習慣、債権回収リスクなど)
③リンクする市場(日本の影響力があるか?欧米を向いているのか?など)
④規制/レギュレーション(複雑かシンプルか?)
⑤タイムギャップ(途上国の場合特に”今どこで〜あと何年でどこまで来る?)
なんてことを何時も念頭において新しい出張先を訪問されている気がする。この辺りはヒトそれぞれの”ロジック”があるはずで、私自身まだ正解らしい正解にありつけてないのだが、少なくとも、根拠のない現地の方の意見や媒体/メディアの薄い記事に翻弄されることはなくなった。湘南塾を通じて、色んな方の経験ある知見を伺って、自分の”ロジック”の精度を高めていきたいなぁ、と思う。

<大食漢のビジネス回遊録:2016年8月11日>

日本では有名でも海外では全く知名度のない会社の現地法人の立ち上げやビジネス開発を担当するケースがある。有名な会社であれば、予算の上限はあっても、リクルートして現地の良質な人材に出会うことは、さほど難しいことではない。無名でかつ人材に投下できる予算が限られている場合、現地市場で即戦力で活躍する人材に出会うのは本当に時間がかかるし、予想以上に難しい。日本で小資本で事業を一から立ち上げるのと一緒で、”人集め”と”人材育成”には本当に苦労する。まずは「ヒトとして個人として信用してもらい」「当該事業が成功する”船”であることに説得力を持たせ」「この人についていったら自分は伸びるかも」あるいは「この人と仕事すると将来の自分のキャリアに役に立つ」と思わせないと、良質な人材に出会っても、一緒に仕事する『環境』に入ってきてくれない。”言葉”以上に”人間力”や”対人力”が求められる。これまでの実績や経験した事業や在籍していた会社の知名度をフル活用して、心の扉を開いてもらう。徐々に警戒が解け、ようやく信頼に変わっていく。
幾つもの事業を海外で立ち上げていると、現地で『人材を見る目』も自ずと鍛錬される。 最初から波長の合う人とは意外とうまく行かなかったりする。「変なヤツだなぁ」「腹立つこと言うなぁ~コイツ」というぐらいの方が、一緒に仕事をして、お互いを分かり合ううちに波長があってきたりする。逆に、「おっしゃる通りにします」「私も同じ意見です」と同調的で、第一印象がいい人ほど警戒するようになる。
一方、会社を運営する立場からすれば、駐在員の選定でも想定外のことが起きたるする。高学歴だったり~日本での成果が際立っていたり~する社員でも、海外の現地法人や海外市場そのものに馴染めず、赴任期間中に帰国の途につくケースも多い。こういったケースが海外で初めて現地法人を設立する場合に起きることも多い。学歴や日本での成果だけでなく、普段のちょっとした受け答えや、酒を飲んだときの会話の内容から本人の素養や資質を見抜けることもあるし、独特の嗅覚が長年の経験から積み重なるような気がする。
よほどの大規模企業でないと、ほとんどのケースで、採用する人材の良し悪しや現地パートナーの質、駐在員の能力や努力で、事業成果が左右され、本社側の手間や労力、必要となる資本も変化する。「カネ<ヒト」の構図がある。同じ資本金を積んでも、ヒトによって、得る成果物はminus or 0~million/billionの差が出てくる。ただ、この辺の評価が本社側や経営者の資質が高くないと難しい側面がある。上手に言い訳したり、うまく責任から逃れたり、本社のコバンザメのような駐在員が意外と評価されたりするので、この辺は厄介。会社全体で海外事業の要諦が理解できてないと難しい。一般的な日本の会社ではこの辺が難しいのが実情なので、その点は今後進化しないと海外に出て成功する企業は増えない。
by Hagi